CASE358 FC 本部との契約トラブル
専門家の助言で対応を
令和 3 年 12 月 5 日 沖縄タイムス 経済面掲載
◆ 企業名 A社
◆ 業 種 フードデリバリーのFC
◆ 所在地 本島南部
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 10人以内
【相談】
FC(フランチャイズ)オーナーとして開業し、経営は順調だったが、突然、軽微な規約違反を理由にFC本部から契約解約の通知を受けた。解約されると店舗の器具を安い値段で本部に買い取られ、投下資金を回収できない。どうしたらいいか。
【回答】
Aさんはアルバイト店長としての実績を認められ、銀行融資を資金に同系列のFC店オーナーとしてフードデリバリー店を開業した。
コロナ禍の影響もあり事業は順調だったが、突然東京のFC本部から契約の解約通知を受けた。理由は「経理上の規約違反」だったが、Aさんとしては繁忙期の単純な事務的対応ミスという認識で、納得がいかない。解約されると安価で店舗・器具を本部に譲渡しなければならず、投下資金を回収できず借金だけが残ってしまう。
よろず支援拠点での相談に弁護士として対応した。Aさんの話から1.本フランチャイズ契約は契約期間が3年間で合意されていたこと2.本部が指摘する違反の内容は繁忙期にありがちな軽微な違反であること3.Aさんは指摘を受けた後すぐに違反状態を解消したこと―が分かった。
フランチャイズ契約等の「継続的契約」の当事者は、日本の法律で一定の保護を受ける。解約は「信頼関係の破壊」と言えるほどの重大な違反の場合に制限される。
この点を指摘し、本部との交渉を代理できる東京の弁護士に相談するように提案。Aさんは沖縄からテレビ会議で東京の弁護士に相談し、代理人として依頼をすることができた。
最終的に解約は撤回されたが、Aさんは店舗経営から手を引くことを決め、店舗と器具は新たなFC店オーナーに売却された。コロナ禍の追い風もあって店舗購入希望者は多く、納得のいく価格で売却でき、Aさんは借金をすべて返済することができた。
県内には各種の飲食チェーンのFC店経営者が多い。FC本部とは詳細な契約が結ばれているが、本部と契約トラブルになった場合に、法的な知識が無く、泣き寝入りする店舗オーナーも多数いる。
こうしたトラブルに見舞われた事業者の方には、本部の言い分をうのみにせず、自ら専門家のアドバイスを聞いて適切に対応することを勧めたい。1回のみだがよろず支援拠点の無料法律相談も活用してほしい。
(県よろず支援拠点コーディネーター、弁護士・
絹川恭久)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点 電話
098(851)8460のよろず支援拠点、または
お近くの商工会にお問い合わせください。
関連記事