後継者難 コロナ追い打ち

沖縄県よろず支援拠点

2021年02月02日 14:46

県内企業の休廃業・解散 最多
支援機関「事業再構築が急務」




令和 3 年 2 月 2 日 沖縄タイムス 経済 7 面掲載


 東京商工リサーチ沖縄支店が1日発表した2020年の県内企業の休廃業・解散件数が、過去最高の384件となった。沖縄はもともと後継者難などの課題を抱えていた地域で、新型コロナウイルス感染拡大が件数の増加に拍車を掛けた格好となった。現在も需要回復の見通しは立っておらず、休廃業・解散が増加する懸念はなお強い。支援機関は「事業再構築が急務」と早期の相談を呼び掛けている。(政経部・島袋晋作)

 那覇市の国際通りはコロナ禍で人通りが減少し、シャッターを下ろした店が目立つ。地元の不動産会社によると、県独自の緊急事態宣言が出てから再び休む店が増え、約9割が休業状態にある。
 県の時短要請で協力金が支給される飲食店にとどまらず、支給対象外の物販店も「なぜ営業しているのか」とのプレッシャーを受け、自主休業に追い込まれている。
 この不動産会社の男性は「昨年までは家賃を減額してもらったおかげで何とか持ちこたえていたが、需要回復が見通せずに心が折れてしまった店もある」と明かす。
 帝国データバンク沖縄支店が昨年12月に発表した2020年の後継者不在率動向調査によると、県内の不在率は81.2%で、4年連続の全国1位。全国平均より16.1ポイント高く、唯一、80%を超えた。
 一方で、今回の東京商工リサーチ沖縄支店の調査では、休廃業・解散企業の代表者の年齢が判明した122人の年代を分析したところ、60代以上が73.77%となった。
 一方、休廃業・解散の直前期の決算が判明した55社で見ると、黒字の企業は前年を7.5ポイント上回る61.8%となった。後継者難に加えて高齢であることが、事業継続への不安を募らせていった可能性は否めない。
 県よろず支援拠点へも相談が急増し、今年度は1万件を超える見通しだ。上地哲チーフコーディネーターは「初期のころは多くの事業者が『アフターコロナ』に備えようと、運転資金を借り入れてしのいできたが、コロナが長引きそのモチベーションは急激に失われてきている」と現状を解説する。
 観光を中心に需要の回復が見込めない中、「ウィズコロナ」を前提に、新分野展開や業態転換といった事業の再構築によって売り上げを作ることが急務と指摘。「一人で悩まず、身近にある支援機関に早めに相談して欲しい」と呼び掛けている。



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