CASE 453 宮古島移住し宿泊業 融資受けるには

沖縄県よろず支援拠点

2023年11月12日 10:43

集客の強み 計画に盛る




令和 5 年 11 月 12 日 沖縄タイムス 経済面掲載


 ◆ 企業名 A氏
 ◆ 業 種 宿泊業
 ◆ 所在地 宮古島市
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 1人

【相談】
 現在、県外で事業を展開しており、沖縄の市場調査を行うためのデータが不足しているため、銀行からの融資が難しい状況。そのため、沖縄県内の金融機関から融資を受けるためのアドバイスがほしい。

【回答】
 2023年7月1日時点での沖縄県の地価調査によれば、宮古島市は商業地の平均上昇率が前年比で12.6%、住宅地は同17.7%上昇し、どちらも県内の市町村でトップ。この上昇はコロナ禍からの回復と観光需要の活性化に支えられ、外国資本も市場に進出し観光需要に大きな影響を与えている。
 宮古サテライトでは、移住者による新規ビジネスの相談が増加傾向にあり、Aさんも観光業を営むため宮古島の金融機関から融資を受けたいという相談だった。Aさんは県外でビジネスを展開し経営の知識は持っているが宿泊業の事業は初めての試みだった。
 Aさんからは、移住して新規ビジネスを始める情熱と覚悟が感じられた。高齢者やファミリーのニーズに対応できる宿泊施設を想定し、国内外のラグジュアリーな施設の宿泊経験からヴィラタイプに設定。予定の土地はビーチから徒歩5分圏内に位置しており、単なる理論ではなく、相談者のビジョンや施設の内外装、ターゲット客層を具体的に考慮しながら、稼働率や宿泊料金などの要素を設定し事業計画書をまとめた。融資を検討する先としては、既に既存の事業でも融資実績のある沖縄振興開発金融公庫を提案。事業計画書の精度向上のために、オンラインやメールを通じて何度も情報のやりとりを行った。
 Aさんは集客に関するSNS活用のノウハウを持っており、複数のOTA(オンライントラベルエージェント)の選定もできており、集客の強みとなる部分である。それらを加えた計画書を作成し提出した後に限度額が伝えられ、県内のヴィラ施設との差別化と景観の問題が指摘され計画書の再調整が必要となった。
 数週間後、Aさんから景観に課題があった場所から、海に近い別の土地を選び施設のタイプをゲストハウスに変更する決断をされた旨の連絡があった。これにより利益が改善し、金融機関との融資交渉が進捗(しんちょく)した。今後も宮古島に移住するAさんと共に残された課題を解決し、経営の継続を追求していく。
(県よろず支援拠点コーディネーター・砂川淳一

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