CASE 456 70歳前に後継者不在 廃業か

沖縄県よろず支援拠点

2023年12月03日 08:46

事業承継 M&A も選択肢




令和 5 年 12 月 3 日 沖縄タイムス 経済面掲載


 ◆ 企業名 Z社
 ◆ 業 種 板金塗装業
 ◆ 所在地 沖縄本島南部
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 5人

【相談】
 体力的な衰えを感じ、70歳を目前にそろそろ仕事をリタイアしたいと思っている。しかしながら、身内に後継者がおらず、他に思い当たる人もなく困っている。このままでは廃業も検討せざるを得ないが、何か方法はないか。

【回答】
 全国的に進行中の後継者不在による廃業は、沖縄県も例外ではない。相談者はおよそ30年前に板金塗装業を個人で創業し、後に法人化して現在5名の従業員を雇っている。当初はディーラーや近くの整備工場からの仕事が中心だったが、誠実な仕事ぶりと技術力の高さが評判となり、地域住民からの依頼も着実に増え経営は安定。しかしながら、一人息子は別の仕事に就いていて、職人気質の従業員も経営に興味はなく何か方法はないかと相談に来られた。
 身内や従業員など身近なところに後継者が見つからない場合、廃業するしかないのかといえば、必ずしもそうではない。社外(第三者)に後継者を求める、いわゆる譲渡するという選択肢があり、M&Aと言われている。
 近年は後継者問題の有力な解決策として事業承継型M&Aが活発化している。M&Aで期待できる主なメリットとして(1)後継者候補を広く外部に求めることができる(2)従業員の雇用や取引先との関係を継続できる(3)譲り受け先との相乗効果で事業のさらなる発展が期待できる(4)譲渡代金によりリタイア後の生活資金を確保できる可能性がある - といったことが挙げられる。
 こうした理由からM&Aを提案。その結果、相談者も興味を持たれたため、よろず支援拠点の連携先である県事業承継・引継ぎ支援センター(那覇商工会議所内)を紹介した。同センターは中小企業のM&A仲介業務の実務経験を十分に積んだ専門家が対応に当たり、公正中立な立場でアドバイスを行ってくれる。
 M&Aで事業を引き継ぐ際には準備が非常に重要になる。これを俗に「磨き上げ」と呼び、売却前に自社の強みを伸ばし高めることを言う。よろず支援拠点としては、「磨き上げ」の第一歩である会社の財務や事業面の現状分析をサポートすることを提案し相談者も笑顔で納得し、早速準備に取り掛かる意気込みを見せた。相談者が安心して事業承継を行えるよう、今後も同センターとの連携を継続しながら、伴走支援を行っていきたい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・中小企業診断士・大城剛

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点 電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会にお問い合わせください。

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沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター
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