CASE 498 コロナ融資 返済への対応は

沖縄県よろず支援拠点

2024年10月06日 08:59

検索活用で新規顧客




令和 6 年 10 月 6 日 沖縄タイムス 経済面掲載


 ◆ 企業名 非公表
 ◆ 業 種 飲食店/美容事業
 ◆ 所在地 非公表
 ◆ 資本金 30万円
 ◆ 創 業 2013年
 ◆ 従業員 0人

【相談】
 飲食店と美容事業を行っている。どちらも新型コロナウイルス感染症の影響を受け売り上げが減少した。コロナ関連融資の元金返済開始期限が迫ってきたが売り上げは思うように回復していない。返済への対応はどうしたらいいいか。

【回答】
 相談者は2013年から県内で飲食業と美容業を行っている。コロナ禍の影響で売り上げが減少しコロナ関連融資を受けた。コロナ禍後も売り上げは回復せず返済めどが立たたない中、金融機関からの紹介で相談に来られた。
 借り入れの詳細と現状を確認し、まずは県の伴走支援型借換等対応資金制度の活用を助言、手続きへのアドバイスを行った。借り換えで元金据え置き期間を半年確保し、その間に事業の売り上げを上げる取り組みを提案。Googleビジネスプロフィールの活用により、検索による新規顧客の獲得を目指した。
 経営立て直しは売り上げの回復と借り入れの返済財源の確保を図りつつ、さらに健全な利益体質な経営へ転換していくことが望ましい。とはいえ喫緊の課題である売り上げ拡大と返済原資の確保が優先である。
 Googleビジネスプロフィールの活用については相談者がスマホ操作の苦手意識もあったため、毎週来所してもらい操作方法をアドバイス、投稿が増えるとともに新規顧客も増えていった。特に飲食店はで、新規顧客が昨年より30%増加し、新規顧客からのリピーターも生まれた。併せて価格の見直しも行ったことで、徐々に売り上げはアップしていった。
 半年後の元金返済開始に向けた財源の確保を考えなければならない。会社では日々の売り上げや伝票、決算書類しかなかったため、その情報だけでは経営分析が十分にはできない。そのため事業ごとの採算性を確認し、経費を確保した上で返済財源が確保できるかを見なければならない。まだ確保できていないならば、どれだけの売り上げと利益が必要で、さらにどのような取り組みが必要なのか、数字を踏まえた対策を整理していく必要がある。
 利益率は高いがコロナ後既存顧客の回復に苦戦する美容事業、利益率は比較すると低いが、特徴のある飲食店で新規顧客獲得がしやすかった飲食業。特色の異なる事業の経営改善はまだまださまざまな取り組みが必要である。今後も引き続きサポートしていきたい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・宮里智子


※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点 電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会にお問い合わせください。
【相談】
 これまで社外の方に請け負ってもらい対応してきたが、仕事が増えてきたため従業員を雇用することを検討している。雇用することは初めてなので労働条件など、手続きやルールが知りたい。

【回答】
 相談者は2008年に個人事業として木造住宅の外壁工事を始めた。2022年に法人化、順調に業績を伸ばしてきた。これまでは雇用はせず請負契約で対応してきたが、仕事の依頼増加に対応するため新たに従業員を雇用することとした。初めての雇用に際し、どのような手続きや条件を定めるべきかを知りたいと、よろず支援拠点に相談に来られた。
 まず、雇用契約と請負契約の違いについて説明。雇用労働者は会社の指揮命令の下で働き、労働保険や社会保険に加入する必要がある。一方、請負契約は仕事の完成を目的としており、請負契約の受託者は業務の進め方や時間配分を自由に決めることができ、労働法の適用対象外となる。
 その上で、これまで請負契約の受託者には日当を支給していたが、従業員として雇用し安定した収入が得られるので月給制を勧めた。また、労働条件通知書の作成や就業規則の作成についても労基法などを下回らないよう注意が必要である。労働条件通知書は労働者との約束事を明確にするために重要であり、各条件を確認しながらどのように記載するかを助言した。
 就業規則の作成については厚生労働省モデル就業規則を基に、相談者企業の現状に応じた内容とするように調整した。さらに、産休・育児休業などについては育児介護休業法に基づき、育児介護休業規定を定める必要があるため、厚生労働省のモデル規則を基に作成した。
 相談者は今回雇用する従業員に手当や一時金を多く支給したいと考えていた。従業員に対する思いはよいが、理由なく支給するのではなく、賃金規定などで手当や一時金を支給する条件や金額を決めておくことが重要であると助言した。今後賃金を引き上げるための条件などを規定に加える予定である。
 初めての従業員雇用に関する手続きや条件設定について、具体的なアドバイスを提供し、安心して従業員を雇用し事業継続できるよう引き続きサポートして行く予定である。
(県よろず支援拠点コーディネーター・平田勇次
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