無料経営相談 沖縄県よろず支援拠点 - 支援事例集【公式】

まずは問題点把握から







　◆ 企業名 Ｋ社
　◆ 業　種 小売・卸売業
　◆ 所在地 本島中部
　◆ 資本金 非公表
　◆ 創　業 非公表
　◆ 従業員 非公表


【相談】
　金物屋の家業を継ぐため退職し、現場経験を積みながら父親と二人三脚で経営している。３年後には事業の引き継ぎを完了させたい。そのため、経営改善に取り組んでいるが、何から手をつけたらよいかわからない。


【回答】
　今回の相談者は、父親から事業を承継する予定の長男。事業の状況は、長年の経営努力により信頼を得て、一定の顧客と販路がある。大きな債務もなく、財務状況も悪くはないが、売り上げ減少などいくつかの問題点を抱えていることが分かった。
　売り上げ減少の原因は、営業活動の中心となっていた父親が高齢となり、体力的な衰えから、これまでのような営業ができなくなってきたこと。また不良在庫の増加も財務状況を悪くしている要因になっていた。顧客からの注文に応じ、多様な商品を仕入れたものの、在庫管理ができていない。まず不良在庫を圧縮し、現金化することが必要である。そのためネットで販売したところ、顧客の反応も良く、取扱商品のサイズが小さいこともあって発送作業は比較的簡単にできた。その結果、安定した収益につながった。
　次に、ＰＯＳシステム、アプリ導入による在庫管理の効率化を勧めた。在庫数をデータ化することで入出庫状況がすぐにわかり、無駄な発注を防ぐことができる。相談者はＩＴに関する知識があったのでデータ処理への対応は問題なく、在庫状況の集計をしながら商品の把握と整理を同時に進めることができた。
　さらにネットレジを導入すれば在庫情報とデータ連携することができ、売り上げ・粗利益をリアルタイムで把握できる。これらの改善により、店舗販売や経理の面でかなりの部分が省力化できた。その分手薄になっていた外回り営業や、ネット集客に人手をまわすことができ、売り上げ拡大に力を入れられるようになった。
　事業承継では、後継者不足や後継者の事業へのモチベーションなどが問題となることも多い。今回は、後継者が事業への意欲を持ち、家業に入ることで見えてきた課題解決のため、相談に訪れている。事業承継とともに、事業好転に向けて尽力することで、さらなる事業発展につながっていくであろう。今後も円滑な事業承継へ向けてサポートしてきたい。
（県よろず支援拠点コーディネーター・遠山康英）

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